正直、3Dゲームなんて作れる気がしていませんでした。Blenderは開いたことすらない。それが2日で、山里に家を置いて育てる箱庭がブラウザで動いています。
この記事は、その2日の実録です。ぼくがやったのは指示と判定だけ。釘は一本も打っていません。誰に何を任せて、いくらかかって、どこで転んだかを、日付つきで書きます。
できたもの
「里づくり(仮)」。山あいの荒れた里に、民家・商家・蔵・社・井戸を置いていく箱庭です。隣に何があるかで点が決まり、点が貯まると次の建物が届く。住人も交通もシミュレーションしません。置いた瞬間に結果が出る、それだけのゲームです。
ブラウザで5分遊べる体験版を itch.io に置きました。Steam本編は10月上旬の予定です。
誰に、何を任せたか
建設の現場と同じで、監督は釘を打ちません。図面を渡して、上がってきたものを検査して、通すか戻すかを決める。今回の現場の分業はこうでした。
- 建物・地形・住人の3Dモデル: Codex(GPT-6 Astra)。Blenderを操作するスクリプトを書かせ、実行してGLBを吐かせる。ぼくはBlenderの画面を一度も見ていません
- 主人公の3D化: Meshy。公式のキャラクター画像1枚から image-to-3D。3体作らせて、いちばん里に馴染む1体を選んだ
- ゲーム本体(Godot 4): Claude Code。島の生成、配置、隣接の加点、住人のうろつき、散歩モードまで
- BGMとPV: fal.ai の ACE-Step で琴の曲を3本、H3 Max Turbo で5秒クリップを数本。組み立ては ffmpeg
- ぼく: 仕様書(建物の寸法・パレット・「置いて気持ちいい」の基準)を書く。上がってきたものを並べて撮影し、検査ゲートで通す/戻すを決める。権利の台帳をつける
現場管理の言葉に置き換えると、仕様書が図面、ゲートが中間検査、台帳が品質記録です。6年やってきた段取りを、そのままAIという職人に向けただけでした。
かかった費用
- Steam の登録料: $100(一度きり)
- Meshy: $20(月額のProプラン。主人公3体で15クレジット×3)
- fal.ai: $3.31(BGM候補は1本およそ1円、PVクリップは5秒およそ35円)
- あとは Claude Max と ChatGPT Plus の定額の中
3Dモデラーに1体発注したら、この合計では足りません。ただし「安く作れた」より大事なのは、戻しが無料だったことです。気に入らなければ仕様書を直して再生成するだけ。人に頼んでいたら、3回目の戻しで関係が終わっています。
転んだところ
2日で動いたと言うと順調に聞こえますが、実際は検査で戻した回数のほうが多いです。
- 全部が白飛びした。色をsRGBで書いたのに、glTFにはリニアで入れないといけない。初回の撮影は雪原でした。変換を1行足して直った
- 半透明が出ない。Godot の互換レンダラーは transparency に対応していない。配置前のゴースト表示は材質ごと差し替える方式に変えた
- タグを1つ間違えた。itch.io で「adult」タグが付いた状態で公開してしまい、初日の訪問の大半が成人向け一覧からだった。ページビューは成果ではない、と痛感して外した
どれもAIのミスというより、検査の設計不足です。現場でも同じで、事故の大半は職人の腕ではなく、段取りと検査の抜けから起きます。
権利のこと
主人公は CryptoNinja の公式ガイドラインに基づく二次創作(非公式ファン作品)です。AIの入力に使ったのは公式画像のみで、建物・地形・住人はAI支援の自作。生成のたびに出所と消費クレジットを台帳に残しています。ゲームの権利面は、面白さより先に固めました。ここが曖昧だと、あとで全部が止まるからです。
まとめ:なぜ2日で動いたのか
腕が上がったからではありません。作る人と判定する人を分けたからです。ぼくは判定に専念し、作るのは全部AIに任せた。番頭(議事録をタスクに変えるスキル)も、自宅のAI相棒も、このサイトも、ぜんぶ同じやり方で回しています。ゲームはその中でいちばん「作った実物」が見えやすい、というだけです。
本業一本に縛られないために、AIという職人を雇う。その現場の一つが、この里でした。